死刑囚の絵画「極限芸術」- 奇想の美術・デザイン研究所

極限芸術とは、死刑囚が描いた絵のことです。独房で死を待つという極限の状態で制作していることから、このように呼ばれています。
本記事では、極限芸術の作例と、その捉え方について述べていきます。
死刑囚の描く絵はさまざまで、いたって普通の絵を描く死刑囚もいますが、ここでは死刑囚ならではの表現をいくつかピックアップします。以下の絵は、常人では到底思いつかないような思考が見てとれる絵画・イラスト作品です。
植松聖「覚悟」

植松聖「覚悟」

画像出典:弁護士JPニュース

北村孝紘「大当り」

北村孝紘「大当り」

画像出典:ハーバー・ビジネス・オンライン

北村孝紘「神のなげきと救いの糸」

北村孝紘「神のなげきと救いの糸」

画像出典:HUFFPOST

風間博子「無実という希望」

風間博子「無実という希望」

画像出典:タグマ!

風間博子「潔白の罪」

風間博子「潔白の罪」

画像出典:タグマ!

死刑囚が描いた絵など見たくないと思う方もいるかもしれません。死刑囚は何の罪もない人の命を奪っているのですから、そのような不快感を感じるのは当然です。ただ、極限芸術は、死刑囚が今どのような考えや心理状態でいるのかを知るきっかけにはなり得ます。
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見方を変えれば、人は皆生まれながらにして死刑囚であると考えることも可能です。フランスの哲学者であったブレーズ・パスカル(1623-1662)も「人間は生まれながらにして死刑囚なのだ」と言っており、彼の遺著である『パンセ』の中にそのことが記されています。
人は生まれながらにして死刑囚というのは、要するに人間はいつ死ぬか分からず、もしかしたら明日病気や事故で死ぬかもしれないので、死刑囚と同じようにいつ来るか分からない死を待ちながら生きているということです。そう考えれば、人は常に極限の状態で生きているということになり、極限芸術は決して私たちと無縁のものではないのです。
【関連書籍】パスカル『パンセ』
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