【参考】
美術史における「奇想」という言葉は、1700年代の西洋絵画における「奇想画」にも使われています。「奇想画」とはイタリア語で「カプリッチョ(capriccio)」と呼ばれ、実在するものと空想上のものを組み合わせた都市風景画を意味する語です。
作例の一つとして、イタリアの画家であったフランチェスコ・グアルディ(1712-1793)の絵画「小さな広場と建物のあるカプリッチョ」が挙げられます。この作品は、広場は実在する風景であるものの、そこに描かれている建物は架空のものとなっています。
フランチェスコ・グアルディ「小さな広場と建物のあるカプリッチョ」(1759)
画像出典:東京富士美術館
ただ、こうした作品は旧来「カプリッチョ(capriccio)」と呼ばれており日本語訳すると「奇想画」になったというだけで、美術史において最初に「奇想」という言葉の定義付けをしたのはあくまで辻惟雄です。